折原一「遭難者」
登山記録、山岳資料、死体検案書などが収められた追悼集に秘められた謎、謎、謎…。
遭難者 | |
折原 一 角川書店 2000-05 売り上げランキング : 73340 おすすめ平均 内容自体は★4くらいなのだが・・・・・・・ 構成の面白さはあるのですが ここまで凝っているとは… Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この本は、その「笹村雪彦追悼集」という体裁である。登山記録、山岳資料、死体検案書、地図、絵葉書、写真、追悼文などで構成されている。まずこの装いがトリッキーである。
でも、読者は思うだろう、はたして、これのどこがミステリー小説なのか?
追悼集には、息子を亡くした母親の手記もつづられている。息子の足跡をたどる母、だが彼女は息子の死に秘められたものがあることに気づく。何故、この手記がこの追悼集に収められているのか。これも仕掛けの一部である。そして更なる悲劇が・・・。
ミステリーとしては、少々弱い(2時間サスペンスのような解決)が仕掛けを楽しむ本である。凝りに凝ったつくりの「追悼集」、本自体が一種の叙述トリックになっている。
※函に2冊の追悼集が入っている珍しい文庫本。
(採点:★★★1/2)