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Q&A恩田陸

幻冬舎 2007-04
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都下郊外の大型商業施設で重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず――多数の被害者、目撃者が召喚されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも本当に事故なのか?

物語は、すべて「Q&A形式(会話)」だけで進行する。
地の部分や心理描写はいっさいない。


果たして、“そこ”で何が起きたのか? インタビュアーの前に、事故を取材した新聞記者、事故に巻き込まれた近所の主婦、救出に駆け付けた消防士ら関係者が召喚される。それぞれが自分の見たまま体験したままの事実を語る。しかし謎は深まるばかり。さらに警察でもマスコミでもないというインタビュアーの正体は誰なのか。


ひとつひとつの章が独立した短編のように、“事件”を触媒にそれぞれの登場人物の人生までを浮き彫りにしていく(スティーブン・キングの作品やドラマ「LOST」のように)。


物語は、途中まで謎解きミステリーのように進行するが、しかし作者の描きたいものは更にその先にあるもののようだ。物語の終盤である人物の口から「事件の真相」らしきものが語られる。だが、物語はそこで終わらない・・・。


実験作。
★★★★☆